手描きからCADへ、そしてCADからBIMへ

CADとはComputer Aided Designの頭文字で、

コンピュータを使った設計を支援するツールのことだ。

建築に関わりのない人でも今の時代、図面はコンピュータ(CAD)で描いていることは容易に想像つくだろう。

だが、1990年頃まで製図は手描きが主流だった。

1980年頃から一部の大企業で使われ始めたCADは、コンピュータの性能が上がるにつれ、1990年〜2000年にかけて中小企業にもすごい勢いで普及していった。

その結果、2000年にはCADを主とした作図が当たり前となった。

それから約20年、

CADからBIMへと移り変わりつつある。

BIMとは設計に携わっていない人からすると初めて聞く言葉だろう。

Building Information Modeling

この頭文字をとってBIM(ビム)という。

CADは手描きの延長線。つまり、手で定規を使い線をひく。その作業をCADを使ってやっているようなもの。

平面図、立面図、断面図、展開図と2次元の図面をコンピュータ上に順番に描いていく。

だか、BIMは全く考え方が異なる。

BIMは、まずコンピュータ上に現実と同じ3Dの建物を作り、そこから2次元の図面を取り出してくるという手順だ。

3Dパースと混同しそうだか、明らかな違いがある。

3Dパースの場合、壁や屋根の部材そのものには、テクスチャ以外何の情報もない。

だか、BIMにおける壁や屋根にはその部材のもつ素材、厚み、断熱性能、サイズや面積などといった膨大な情報が組み込まれている。壁や屋根だけではない、窓や床、地面や植木に至るまでBIM上のあらゆるオブジェクトに各々の膨大な「情報」が組み込まれている。

ここまでくると、Building Information Modeling がどういうものか、うっすら分かってきたかもしれない。

BIMは、設計〜施工〜維持管理に至るまでの建築ライフサイクル全体でコンピュータ上の3Dモデルに蓄積された『情報』を活用して、より精度の高い設計を行い、また業務効率化も行える画期的な設計手法なのだ。

国はこれからのBIMによる設計を強く推し進めてきている。BIMが主となる設計になるのも数年後のことだろう。

AIなどにおいてもそうだが、常に使う側に居続ける様にしなければ、設計においても単純な仕事はこの先、時代の波にのまれて奪われていってしまう。