本音と建前

日々仕事をしていて気にも留めないことが、調べてみると面白いことがよくある。

建築に関する語源もそのひとつ

上棟時の安全祈願で使う「御幣」

そう!それ!

三尺くらいの板に両紙垂れをはさんで、扇子や水引で飾られた縁起物。さらに京都ではそこにおかめの面がつく。

ここで、ふと疑問が……

なんで「おかめの面」が付いてるんだろ?

調べてみると、

鎌倉時代、高次という棟梁が京都の千本釈迦堂を建てる際、代えのない大切な四天柱の一本を誤って短く切り落としてしまったらしい。

高次は自分の未熟さに死のうと考えた。

そんな夫の姿を見た妻のお亀が、高次に酒を飲ませて寝かせつけ、その晩寝ないで考えたのが、

【短く切った柱の上に斗きょうを組む】案

翌朝、お亀の案で事なきを得た高次

だか、自分の恥が表に出るのを恐れた高次は、自分の表向きの見栄や意地のために、お亀を殺してしまった。

殺した後に、自分の犯した罪を悔い、未来永劫、弔うと心に誓い、女性の七つ道具である「口紅・鏡・櫛・かんざし・おしろい・こうがい・かつら」を棟の上に飾って供養した。

これが御幣か。

ついでに、

【建前】にこだわって妻を殺してしまう男に、

【本音】で応じた女性の悲話が、

「本音と建前」の語源らしい。

思いがけず、こんなことまで知れた。

もちろん諸説あると思うが。